金比羅火口災害遺構散策路は洞爺湖町洞爺湖温泉にある有珠山噴火の災害遺構。洞爺湖温泉南西の洞爺湖ビジターセンター・火山科学館の裏手にあり、有珠山噴火によって居住が困難になるほど壊滅的な打撃を受けた旧虻田町桜ヶ丘団地を中心に、かつての町営温泉浴場や流出橋などが被災当時の姿のまま保存されている場所だ。ボランティアのガイドの方がおり、話を聞くと、理解もより深まる。
2000年(平成12年)3月31日13時07分、桜ヶ丘団地裏の金比羅山付近で有珠山に起因する噴火が始まり、大規模な火山灰の降灰や噴石の飛散、熱泥流の発生により、国道橋と町道橋が流出。5階建てのアパートや町営温泉施設、当時の洞爺湖温泉小学校(現・洞爺湖ビジターセンター)などが大きな被害を受けた。幸い、住民は噴火前に避難していたため、死傷者は出なかった。噴火後、被災した住宅などを公開しないでという住民の声も多く寄せられたが、噴火の遺構物として保存し、火山噴火エネルギーの大きさなどを伝えていくため、災害遺構散策路として整備された。散策路には以下の災害遺構が保存されている。 |
Former Public Onsen "Yasuragi House" (1988 - 2000)
町営温泉浴場「やすらぎの家」 |
旧虻田町の日帰り入浴施設だった建物。2000年3月31日の噴火から約1週間後の4月8日、金比羅山斜面の流路工に熱泥流が流出し、町営温泉浴場「やすらぎの家」を直撃した。1988年(昭和63年)に建設され、洞爺湖を見渡すロケーションの公共温泉として人気があり、観光客や近接する団地の住民などで賑わった。噴火前年には、約1億円の費用をかけて修復したばかりだった。現在、洞爺湖温泉街に公共の日帰り温泉施設は存在しない。写真左手の木は熱泥流などによって立ち枯れたが、右手の木々は奇跡的に生き延びたという。 |
Entrance of Former Yasuragi House |
熱泥流が直撃した「やすらぎの家」玄関口。天井近くまで熱泥流が飛び散っている。 |
Changing room & Baby bed (No damage!) |
熱泥流で埋まった玄関口付近からは無損傷の温泉脱衣場とベビーベッドが見える。 |
Former Konomi Bridge (Route 230)
流されてきた橋 (国道木の実橋) |
1977年の有珠山噴火によって設けられた流路工から熱泥流が溢れ出し、国道230号線に架かっていた「木の実橋」が、熱泥流によって浮き上がり流出。約87メートル押し流されて、5階建ての公営住宅2階に激突した。火山災害の凄まじさを伝える遺構のひとつ。 |
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Former Sakuragaoka Apartment
桜ヶ丘団地 |
噴火前には5棟124戸の公営住宅が建ち並んでいた。4月8日に発生した熱泥流で、国道木の実橋がマンション2階部分に激突。1階部分はほとんど泥流と火山灰で埋まった。この周辺には203世帯378人の住民が住んでいたが、自宅に戻ることができず、流れ込んだ泥流により、家財道具も取り出すことができない状態となった。現在は5階建ての公営住宅が1棟のみが残り、完全に無人の地となっている。 |
Konomi Bridge was slammed into apartment second floor
(In 2000, Usu eruption destroyed the Sakuragaoka District) |
熱泥流で流されてきた木の実橋が公営住宅2階に激突した跡。1階部分は完全に埋もれている。 |
Cinder destroyed the apartment ceiling |
火山の噴石によって、団地の天井に穴が開いた。噴石の凄まじい威力を物語る遺構だ。 |
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